Microsoft Visual Basic Scripting Edition (以下 VBScript) は、バリアント型 (Variant) と呼ばれるデータ型のみを持っています。バリアント型 (Variant) は、異なる種類の情報を含めることができる特殊なデータ型です。バリアント型 (Variant) は、VBScript でただ 1 つのデータ型なので、VBScript のすべての関数の戻り値のデータ型でもあります。

さらにバリアント型 (Variant) は、数値と文字列のいずれの情報も含めることができます。バリアント型 (Variant) は、使用状況から数値が使われているときは数字として、文字列が使われているときは文字列として処理します。数字と思われるデータを処理する場合、VBScript はそのデータを数字とみなし、数字として最も適切な処理を行います。数字をダブル クォーテーションで囲めば、常に文字列として扱うことができます。同様に文字列データとして処理する場合、VBScript は文字列データとして扱います。

単純な数値と文字列の分類を超えるときには、バリアント型 (Variant) は、指定された数値情報を明確に区別できます。たとえば、日付または時間を表す数値情報を持つことができます。この場合、結果は常に日付または時間として表されます。また、ブール型から巨大な浮動小数点数まで、多様な種類の情報を持つことができます。バリアント型 (Variant) に含めることができる異なる分類の情報を "内部処理形式" といいます。ほとんどの場合、必要とする基本的なデータの種類はバリアント型 (Variant) に格納できます。バリアント型 (Variant) は最も効率のよいデータ型に変換して割り当てます。

次の表は、バリアント型 (Variant) が格納できる内部処理形式データの一覧です。

内部処理形式	内容
Empty 値	Empty 値は、初期化されていない (初期値が代入されていない) バリアント型 (Variant) の変数を示します。その値は、数値変数として使われるときは 0、文字列変数として使われるときは長さ 0 の文字列 ("") として扱われます。
Null 値	Null 値は、初期値として有効なデータを持たないバリアント型 (Variant) の変数を表します。
ブール型 (Boolean)	真 (True) または偽 (False) の値を持つデータ型です。
バイト型 (Byte)	0 〜 255 の範囲の整数値を持つデータ型です。
整数型 (Integer)	-32,768 〜 32,767 の範囲の整数値を持つデータ型です。
通貨型 (Currency)	-922,337,203,685,477.5808 〜 922,337,203,685,477.5807 の範囲の値を持つデータ型です。
長整数型 (Long)	-2,147,483,648 〜 2,147,483,647 の範囲の整数値を持つデータ型です。
単精度浮動小数点数型 (Single)	-3.402823E38 〜 -1.401298E-45 (負の値) および 1.401298E-45 〜 3.402823E38 (正の値) の範囲の単精度浮動小数点数を持つデータ型です。
倍精度浮動小数点数型 (Double)	-1.79769313486232E308 〜 -4.94065645841247E-324 (負の値) および 4.94065645841247E-324 〜 1.79769313486232E308 (正の値) の範囲の倍精度浮動小数点数を持つデータ型です。
日付型 (Date)	西暦 100 年 1 月 1 日〜西暦 9999 年 12 月 31 日の日付を表す数字を持つデータ型です。
文字列型 (String)	約 2GB までの文字を格納できる可変長文字列を持つデータ型です。
オブジェクト型 (Object)	オブジェクトを参照するデータ型です。
エラー値 (Error)	エラー番号を持つデータ型です。

ある内部処理形式から別の内部処理形式へ変換する場合、数多く用意されている変換関数を利用できます。なお、VarType 関数を使うと、バリアント型 (Variant) に格納されているデータの内部処理形式を調べることができます。