組み込みオブジェクトを使った作業

スクリプトの作成者は、スクリプトの中である一定の作業が頻繁に必要になることがあります。たとえば、スクリプトが多数あり、それらはすべてまったく異なる作業を実行するものの、すべてのスクリプトでユーザーから情報を取得する必要がある、ということがあります。このような共通の作業を実行しなければならない場合に、いつでもオブジェクトを使って作業の効率化を図ることができます。オブジェクトとは、それ自体が 1 単位として扱うことのできる、プログラムとデータの集合体のことです。

通常、オブジェクトを利用するには、まずそのオブジェクトのインスタンスを作成する必要があります (オブジェクトのインスタンスの作成方法の詳細については、「ActiveX サーバー コンポーネントを使った作業」を参照してください)。しかし、Active Server Pages (ASP) にはインスタンスの作成が不要な 5 種類のオブジェクトが付属しています。次の表はこれらの組み込みオブジェクトについて、その作業用途や使用例の場所をまとめたものです。

オブジェクト 作業用途 使用例
Request オブジェクト ユーザーから情報を取得します。 ユーザーからの情報の取得
Response オブジェクト ユーザーに情報を送信します。 ユーザーへの情報の送信
Server オブジェクト ASP の実行環境を制御します。 ActiveX サーバー コンポーネントを使った作業
Session オブジェクト ユーザーのセッションに関する情報を格納します。 ASP 対応アプリケーションの開発
Application オブジェクト アプリケーションのユーザー間で情報を共有します。 ASP 対応アプリケーションの開発

オブジェクトの構文

オブジェクトにアクセスするための構文は、使用するスクリプト言語によって異なります。ASP のデフォルトの主要スクリプト言語は VBScript であるため、このガイドのスクリプト例では特に明記した箇所を除いてすべて VBScript の構文が使われています。VBScript 以外のスクリプト言語を使う場合、オブジェクトにアクセスするための正しい構文については、各種言語のマニュアルを参照してください (詳細については、「スクリプト言語の使用」を参照してください)。

Request オブジェクトと Response オブジェクトにはコレクションが含まれています。コレクションとは、同じ方法でアクセスされる関連情報の集まりのことです。これらのコレクションへのアクセス方法の詳細については、「ユーザーからの情報の取得」および「ユーザーへの情報の送信」を参照してください。また、For...Each ステートメントを使っても、コレクション内の情報にアクセスできます。このステートメントはデバッグ スクリプトで特に便利です。詳細については、「Active Server Pages スクリプトのデバッグ」を参照してください。

スクリプトからオブジェクトにアクセスするには、メソッドおよびプロパティを使います。

メソッドの使用

メソッドとは、オブジェクトに対して実行されるプロシージャのことです。通常の構文を次に示します。

Object.Method parameters

ここで、parameters はメソッドの種類によって変数、データ、文字列、または URL になります。個々のメソッドの詳細については、「オブジェクト リファレンス」を参照してください。

プロパティの使用

プロパティとはオブジェクトの属性のことで、それぞれ名前が付けられています。プロパティは、オブジェクトのサイズ、色、画面位置などのオブジェクトの性質や、有効または無効などのオブジェクトの状態を定義します。通常の構文を次に示します。

Object.Property parameters

ここで、parameters はプロパティの種類によって値、文字列、またはフラグになります。個々のプロパティの詳細については、「オブジェクト リファレンス」を参照してください。


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